そして少女は兵器を討つ
取り出したそれは、薄い長方体で、表の半分がディスプレイ、そのした半分がボタンという作りで……ケータイ電話と言うらしい。

最近、お祖父様から渡されたものだ。

まだ、よく使い方がわからない。

知っているのは、二つのボタンだけ。そのひとつを押し、耳にあてがうと、お祖父様の声がした。

『静かになったようだね? ミリアリア、目的は達成したかい?』

「はい、お祖父様」

と頷いてしまったが、この電話という機械は、相手の姿は見えないらしい。

事実、私がお祖父様を見られないから。

『そうか。よしよし、よくやったね。疲れただろう、早くお戻り。あとはほかの者が上手くやってくれるからね』

「はい」

そして私は、倒れている男を見下し――きびすを返した。

もうここに、用はない。
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