そして少女は兵器を討つ
男の叫びは指に込められ、その指はトリガーを引き、トリガーは狂気のつぶてを撃ち出す。

「私は――」

ぐいと伸ばした右手が、その掃射に真っ向から晒される。

人差し指がちぎれ、親指が砕け、掌に穴が無数空く。

が、それでも、

「死なない」

私は手を伸ばし、男の顔面を掴んだ。

瞬間から、私の失った赤が、男から流れてくる。

徐々に目玉が陥没し、萎れていく男と相反して、私の生が潤う。

あ、あ……満た、される。

「なんだコイツは!!」

指揮を執っていた男が、まるで害虫でも見つけたように唸るのが聞こえた。

「撃て! ただのガキじゃねぇ! 穴っだらけにしてやれ!!」

そして再び、豪雨のように弾丸が肉薄する。

私の周囲で、外れた弾が鉄と衝突し、火花を散らす。ガキャガキャガキャガキャ、あまりにうるさい。

せっかく満たされた私の体に数えきれないほどの穴が空き、命が弾ける。

ぷちゅ、ぱちょ、ぴちゅと、それは水溜まりを叩くような音で、私から溢れていく。

赤い赤い命の流れ。

血が、体外へ。
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