そして少女は兵器を討つ
銃声が、ひとつ、私を迎えた。

部屋の中には、スーツを着た男がひとり。

その右手には拳銃。

硝煙が、シラシラと糸のようにあがっていた。

ひたいから鼻筋。そして唇から顎へ、生あたたかいなにかが伝い、切れる。

ぽっ。と、鉄の床から音がした。

見下すと、血が一点。

顔を男へ戻し、静かにひたいへ手をやると、指先が濡れた。

私は、どうやら頭を撃たれたらしい。





ガンッ。





と、また銃声――

今度は視界の下で、赤い噴水のように舞った。喉を、撃ち抜かれた。

が、ひたいもそうだったけれど、すぐに止まる。

男が、舌打ちをした。

「二秒……たったそれだけの時間で血が止まるとはね。……お前、化け物か?」

「違う」

答えて、一歩踏み出す。

ほかの人間のように怯えたり、慌てたりする様子はない。
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