赤い糸〜8年の軌跡〜


私は写真を見て思い出していた。
たくさんの経験をしたあの初恋を。

ー8年前

母「美季ーー!!
いい加減起きなさい!
里奈ちゃん来ちゃったよ!!」

美「っ!!やっばい!!!遅刻!」

高校に入学してから3ヶ月。
私が通う高校は
家から徒歩10分の距離にある。
ど田舎なため高校はこの1校のみ。
そのため近隣の中学から皆集まる。
なので全員が交流出来るようにという
名目で一泊二日の宿泊学習がある。

私は昔から遠足などの行事が
大好きで前日に興奮して
寝付けなくなるタイプだ。
そのおかげでというか
そのせいでというか……

ー10分後

美「里奈ほんっっっとごめん!!
おまたせ!!」

里「いや、髪グシャグシャ…制服…
ん〜まぁ言いたいこと色々あるけど
とりあえず今は走るよ!!
行くよ!!」

美「えっ!まっ、早いよ〜!」

里「ほらっ!早く!」

彼女は幼馴染の里奈。
2歳の頃からずっと一緒。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。
完璧。おまけに私の世話係?
何かあれば必ず助けてくれる
自慢の親友。

里「ほら!もうちょっとで学校だよ!」

美「はぁっはぁっ。しんどい…。
うわっ。やばい。皆待ってる〜…」

先「はい、遅刻〜〜」

里 美「遅れてすいません!!!」

先「とりあえず早くバス乗って」

クラスの子「里奈、美季おはよ〜!って
美季!あんた髪型やばい!笑」

美「昨日夜張り切りすぎちゃって
寝坊しちゃって慌てて
出て来ちゃったから…あはは…笑」

里「もう!毎度のことだけど
小学生かって!髪やってあげるから
そっち向いてて」

美「…!ありがとう〜〜!!」

3時間ほどで目的地に到着した。
バスの中で里奈に髪の毛を
結んでもらい気分はルンルン。

「みーーーーーきっ!!!」

グシャグシャっっっ

美「ーー!!!きゃっ!なに!?」

バスを降りたら急に後ろから頭を
グシャグシャと撫でられた。
驚いて振り向いたら優がいた。

優「お前遅刻したんだって〜(にやに
や)」

美「優っ!もう!せっかく里奈が
やってくれた髪また崩れたじゃん!」

彼は佐藤優。私の初恋の相手だ。

元々は里奈が優と仲が良くて
その繋がりで仲良くなった。
優は見た目がチャラくて
一見近寄りがたそうに見えるけど
実は話しやすくて接しやすいから
友達が男女問わず多い。

最初私は苦手だったけど
よく話したり遊んだりしてるうちに
好きになっていた。
でも優は人気者だし今の関係
壊したくないから伝えないでいる。

それに……

優「いいんだよお前はそんな髪型
しなくて!ボサボサでいろ!笑」

こうやって私のことは女の子扱い
してくれない…。かわいいなんて
一度も言われたことないから
自信なんてあったもんじゃない。

美「…もうっ!さっさと自分のクラス
行きなよ!」

優「言われなくても行きますー
…あっ!夜、里奈たちと俺らの部屋
来いよ?」

美「っ///気、気が向いたらねっ///」

優「じゃ、後でな!」

美「ほんっと勝手……」

ーーーくすくすっっ

美「??」

後ろを振り返る

里「いや〜微笑ましいねぇ〜(にや)」

美「ちょっとからかわないでよっ」

里「“あとでな”って約束破らないわけ
ないもんね?ね?」

美「っ///」

里「わっかりやす〜(笑)」

この日はレクリエーションをして
各グループで食事作って
自由時間を過ごしてそして
約束の夜に。

美「ねぇ本当に先生に見つからない?
大丈夫…?」

里「もぉ〜ビビりすぎ!……ここだ!」

ーーコンコンっ

ーーガチャっ

優「いらっしゃい」

里 美「お邪魔します」

男子「うぇ〜い!見つかんなかった?」

里「全然平気だったよ!」

優「よし!ゲームやろうぜゲーム!
トランプ持って来てんだよ俺」

美「静かにやろうよ…ね?」

優「ビビりだな美季は。とりあえず
こっち来い!座れ」

美「…!うん…。」

30分ぐらいはしゃいだだろうか

ーーコンコンっ

全員「ーー!!!!」
「布団中隠れろ!!」

ーーやばい、優と密着しすぎて
心臓の音聞こえてないかな…。

先「寝てるかーー」

ーーガチャン

里「ふぅ〜。どうしよ見回り
始まっちゃった。」

優「とりあえずここで寝て朝一で
部屋戻ればよくね?」

美「え!?」

優「だってしょうがねえーじゃん」

美「え、でも…」

里「美季。しょうがない!寝るか!」

美「えーーー!?そんな…」

優「つべこべ言ってないで寝ろほら!
そのままの場所でいいな?」

全員「おっけー!」

ーーえ、そのままって…優と同じ
布団じゃんっっ!嘘でしょ…

全員「おやすみー」
「おやすみ〜」

ーーシーン

優「…美季。起きてる?(ボソッ)」

美「?起きてるよ(ボソッ)」

優「こんな状態の時になんだけど
今日言おうって決めてたから言うわ」

美「???」

優「俺美季が好きだ。付き合ってほしい」

美「ーー!?え、まっ、え!?」

優「初めて会った時からずっと好きで
でも恥ずかしくていじわるなこと
ばっか言っててなのに
嫌われないようにしようとしたり
……っあ〝ーーーもうとにかく
お前のことが好きだ。」

美「……」

優「…み、みき?」

美「…ぐすっ。ゔぅ…」

優「え!?なに涙!?それ」

美「…嬉し涙。だって好きになって
もらえるなんて思ってなかったから
いつもいじわるしてくるし…ぐすっ」

優「…ふっ(笑)ごめんごめん。
ちゃんと大事にするから
彼女になってください。」

美「……はい」

優は静かに布団の中でガッツポーズを
してから優しく抱き寄せてくれた。
私はその腕の中がとても落ち着いて
気持ちよかった。

次の日の朝その部屋にいた人達には
報告して…というかほぼほぼ
起きてたみたいで一部始終知っていた

おめでとうの言葉にすごく
嬉しいのと幸せな気持ちになった。

一泊二日の宿泊学習はあっという間に
終わった。
優は帰り道家まで送ってくれて
次の日は休みだからデートの
約束をして別れた。
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