白井君の慰め方


そう。大事な事なので二回言った。大満足だったのだ、その日は。確か次の日も。でもその次の日くらいから怪しくなってきた。

「白井〜!」
「…何?」
「何?だって!なんでもなーい」

「こっち見たね〜」なんて、キャッキャしながら去っていく女子達を、私は物陰からこっそり見ていた。いつもの白井君観察である訳だが、最近こんな調子が多い。

「あ、白井だー」
「マジでかっこよくなってる」

実は白井君は旬な人なのである。髪を切った事で顔が整っているのがバレた。それはそうなんだけど、その他にも、

「白井ー、この間のお礼」
「え、いいよ」
「いやーマジ助かったからさ。白井って結構優しいんだね。見直したわー」

何故か、何故か優しい所までバレているのである。そして結果、人気が出るという。もう、大きな溜め息である。

「今の白井についてどう思う?」

自然と現れた三嶋君から尋ねられ、私は物陰から出た。白井君はもう居なかった。

「カッコいいと思う」
「そうだな。俺も思うし、みんなも思ってる。それについてどう思う?」
「…白井君がみんなに評価されてるのは良い事だと思う。今までが可笑しかったんだ、これこそ正当な評価だと思う」
「で?本音は?」
「今更手のひら返してさ!!私だけが知ってたのに!!」

返せ!私の白井君を返せ!!

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