白井君の慰め方
「…そっか」
見えやすくなった小さな微笑みがどこか満足気だったから、白井君にこうやって伝えられた事に、これで間違っていないのだと安心した。
「頑張るね、俺」
…?頑張る?
何をだろうと思いつつ、うん、と頷いた。何だって頑張ると彼が言うのなら、私は応援するまでなのである。
白井君フィーバーは今尚続いており、いつまで続くのだとウンザリする気持ちがある。始めは慣れるかなぁとも思ったけど、全っ然慣れない。慣れる訳が無いのだ。だって私は白井君のファンではない、白井君の彼女である。私だけの白井君である。
なーんて、どんと構えると決めた矢先からこれだ。嫌になってしまう。でもそんな所を白井君に見せる訳にはいかない。それだけは絶対に、命をかけて守っている。
…けれど、何でだろう。上手くいかない。何でだろう。
白井君の元気が無いのだ。私と二人の時の白井君、なんだか元気が無い。あの日から日に日に、段々と元気が無くなっていく。大丈夫?何か無理してない?と聞いてみても、大丈夫だよとしか答えてくれない。なんでだろう。
何かあった訳でも無いみたいなんだけど、ボーッと考え事をしていたり、どこか上の空。心配で普段の白井君を観察してみたけれど、普段の白井君は変わらずキラキラしていた。
つまり、この変化は私の前だけ。それってつまり、あれ?つまり…私、白井君に嫌われてる?
そうなったらもう、どんと構えてなんて居られない。