白井君の慰め方

「……」

今日の帰りの白井君もなんだか上の空だった。もう聞くしかないと思った。

「白井君。なんか変、だよね」
「そんな事ないよ」
「そんな事あるよ」

真剣な私の様子に、白井君はジッと私の方を見つめた。やっぱり元気が無い。なんだか顔色も…悪い…?

「…もしかして、疲れてる?」
「……」

白井君は、眉を下げて困ったように笑った。やっぱり元気が無い。白井君は疲れていたのだ。つまり私といて、私といるから、疲れが取れない、という事…?

「ご、ごめんね白井君。言ってくれれば良かったのに!」
「?」
「最近ほとんど毎日一緒に帰ってるよね?そのせいで疲れてるなら全然言って!」
「え?」
「気づかなくてごめんね…他にもあるよね?言って欲しい。私と居たら疲れる?私と話してると疲れる…よね。そうだよね、そうに決まってる」
「え!違う、そんな事ないよ」
「でも最近、ずっとなんか上の空だし…」
「……」

白井君は目を見開いて後、眉間に皺を寄せて俯いた。話しながら歩いていたはずだったのに、立ち止まったまま動けなくなっている。白井君は黙ったままで、よく見えるようになったはずの目と視線が合わないでいる。

こういう時、白井君は考え込んでいるのだと思う。だから私は待った方が良い。でも、待っている時間が永遠のように感じる。

「もう私と居るの…嫌?」

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