白井君の慰め方
そわそわドキドキ落ち着かない私を余所に、白井君は変わらない落ち着いた調子で口を開いた。
「思ってたより話すし明るいし、落ち着きがない」
「お、落ち着きがない…」
「そう。もっと落ち着いた人なのかと思ってた。遠慮して、一歩下がった所から話すような」
「…暗いって事?」
「いや、慎重というか。普段から楽しそうにはしてるけど、こんなに慌ただしく現れて無遠慮に付いてくる感じの距離感の人だと思わなかった」
「あー…」
それはつまり、私が鬱陶しくて嫌だったと言う事でしょうか…なんて聞こうにも聞けない。そうだと言われるのが怖い。この一歩を踏み込むには私には勇気がいる。そう、私はいつも、先輩の前でもこうやって一歩踏み出せなくて……あれ?
「私、普段は慎重で、遠慮無しな事なんてしない気がする」
おかしいぞと、普段の私を思い浮かべて首を傾げる。普段友達と話す時だって気軽に話しはするけれど、傷つけたり、迷惑を掛けたりする事のないように心掛けている。最近の先輩とのいざこざも、きちんと本人に確認もしていない段階で相談したって何もならない事が分かってるから、まだ誰にも言えてなかった。そんな私の無意味な愚痴なんて聞いて良い気分がしないだろうし、どうせ話すなら楽しい方が良いし。友達にだってそうなんだから、先輩になんてもっとそう…先輩にはもう何も言えてないかもしれない。
「私、こんなに簡単に飛び込めるタイプじゃなかったはず」
「だから言ってるんでしょ、普通じゃなかったって」
「で、でもでも、普段友達との時もこんなテンションではあるよ?別に信用してないとかそういう話じゃなくて、こう、お互いを傷つけないように注意してるというか、別に普通に楽しく明るく話してるからね?暗い訳ではないからね?」
「そんな念を押すほど暗いと思われるの嫌なのによく俺の事暗いって言えたな」
「や、違っ、あれもそういう事じゃなくて…あーなんでだろう!なんでこう嫌な言い方になってしまうんだろう…」
「俺が冴えないから言い易いんじゃない?それはそれで良いんじゃないですか」
「良くないよ!全然良くない!」