白井君の慰め方

「…先輩と話そうと思う」
「うん」
「そしたら…そしたらさ、」

これから、私はとっても図々しい事を言う。嫌だ、本当にこんな私が嫌だ。でもこれで最後にするから、ごめんなさい。

「その時は、また慰めてくれる…?」

こんな都合の良い事をよく言えるなと自分で自分に感心した。あり得ないだろうと思うけど…チラリと、彼の表情を窺い見た。ジッとこちらを見つめる瞳の奥で、彼が何を思ったのかは分からなかった。

「うん」

でも、頷いてくれた。迷う事なく、真っ直ぐに私を見て応えてくれた。動かない表情で一体彼はどう思っていたのか。私は探る事を放棄した。とことん甘えようと思った。そしてこれで、最後にするのだ。


『ーー先輩、話があります』

連絡を入れて、会う日にちも決まった。やるしかない。頭の中はもう、別れるとか付き合うとかそんな事よりもまずは謝らなければという思いで一杯だった。先輩はきっと怒るだろう。でも全て伝えなければ。今までの抱いてきた想いも、抱えてきた悩みも、ここですべて曝け出そう。そうして先輩から貰えるであろう言葉はきっと、私にとっての何よりの真実になると思うから。それがきっと、先輩と私の答えになる。

二人で会う時によく利用したカフェ、今回も待ち合わせ場所はそこだった。先に着いた私が席で待っていると、「おまたせ」と、笑顔の先輩が現れた。今日は土曜日。午後の部活の前に少しだけ時間をもらった。制限時間がある時を狙う私はやっぱりどこまでも狡い。

「珍しいね。楓ちゃんから会いたいって言ってくれるなんて」

付き合ってそろそろ5ヶ月といった所だ。その間こうして会えた回数は多くないけれど、こういう場はいつも先輩が設けてくれた。

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