白井君の慰め方

野次がどんどん私に覆い被さるそのうちに、次は白井君に向かって飛び交い始めて、気付けば中心は私ではなく白井君になっていた。この状況に、私はただ罪悪感で一杯で、また気付いたら内側に籠り始めてて…

「うるさいな。どうでもいいだろ」

騒がしい中に一つ、うんざりと吐き出したような声色のそれが放り投げられた事に気がついた。

「相原さんが俺の事どう思ってても俺には関係ないから」

ーーシンと、静まり返る。皆が皆、時が止まったように口を噤んで白井君を見つめた。そして、

「最低。白井最低」
「まじでそういうとこ!流石に相原さん可哀想だわ」
「これぞ白井。気遣いゼロー」

ワッと、思い思いの白井君を語り始めた周囲は、思う存分白井君の発言を味わい尽くすとこの結末に満足したのか、「あ、昨日の話の続きなんだけどー」なんて声と共にわらわらと解散していった。ついでに「相原さん元気出して」とかも言われた。この騒動の発端の男子はというと、私に気付かせる隙も与えずにいつの間にか居なくなっていた。

「……」

で、私は私で今の発言の影響継続中だ。みんなみたいになんだつまんないーって終わりになんて出来ない。だって私、もしかしなくても振られた…よね?じゃなきゃ『相原さん元気出して』なんて言われる訳が無い。

そうか。私が白井君をどう思ってても白井君には関係ないのか。

「平気?相原さん」
「あっ、うん。ごめんね白井君」
「?何が?」
「えっとこう、巻き込んで…的な…」
「別に巻き込まれたと思ってないけど」
「……うん」

そっか。私のあれこれは白井君には関係ないんだもんね。迷惑に思ってないならそれで良かったです。

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