白井君の慰め方
まさかの衝撃的事実の発覚に目の前がチカチカした。恋多き女子って…それをみんな知ってるって言われたら、大体良い意味で使われた話題では無い気がする。
「白井君はその、みんなと私のそういう話をしたの…?」
「うん」
「ど、どう思った…?」
すると白井君は珍しく、いつもの真顔を崩して私からそそそっと目を逸らす。これは所謂苦い顔ってやつ。つまり良い意味じゃないって事で、私のメンタル的に聞くべきでは無かったやつだ…
「正直、始めは人生楽しそうだなって思ってたよ」
「…あー…」
「でもそのうちに、いつもその事考えてるひた向きさ、みたいなのがすごいなと思うようになった」
「…恋しかする事なかったような人間だからね…」
趣味イコール恋愛みたいな。誰かに恋してる間はいつも楽しかったから。そんな事を言い訳するように白状すると、白井君はうんうんと、納得したように頷いた。
「そういう時の相原さんはいつも楽しそうだったよ。それ以外の時は割と大人しいから余計に目立ったんだと思う」
「そうだね、基本根暗で陰気な人見知りだからね…」
「流石にそれは言い過ぎだと思うけどさ。でも悩んでる事すら楽しいってくらいなんかキラキラしてて、そういえば俺にはそういうの思い当たらないなって気づいた瞬間、相原さんの事が羨ましく思ったりしたよ」
「まさか!それは無い!」
「いや、本当に。だから保健室で話した時驚いたんだよ、今は楽しい時にいれてくれてるんだなって。そしたら相原さんが夢中になってる世界に入り込めた気がして嬉しかった。俺の事もあのキラキラした目に一緒に映ってるのかなって。そしたら俺も、少しは相原さんみたいになれるんじゃないかって」
「……」
思わず、私は口をギュッと閉じて俯いた。だってそんな事は無い。私の世界は自己満足的な私だけが一人で楽しんできた世界だ。そんな素敵なものみたいに言われたら申し訳なさで顔もあげられなくなる。