白井君の慰め方

そう。ここら辺がベストの距離感。恋をしている時とそれが成就した時とは全く別の世界になってしまうのが、私には怖い。そんな事で白井君との関係まで無くなってしまうのが今の私には何よりも恐ろしい。白井君と私の関係はそういうものじゃなくていい。今のままがきっと丁度いい。

白井君が私に愛想を尽かすまではこの関係を続けていくつもりだ。そしてあわよくば白井君の幸せのお手伝いが出来たらな、なんて。白井君が恋する私を喜んでくれる限りはこの恋を続けていたい。そして白井君の興味が私から去った時、私の恋も終わりたい。それが今の私の願いだった。あー…それにしても本当に、

「好きな人を好きなだけ好きなように感じられるって、なんて素晴らしいんだろう!」

これが片思いの良さである。付き合い始めたらこうはいかない。私にそれはむいてない。

「何?またあんた好きな人出来たの?」

「懲りないね〜」と、呆れ顔の友人にそりゃそうだと納得した。自分でも立ち直り早すぎて引いてる。

「でも今回は違うの。なんていうか、見ているだけで幸せなの」
「いつもじゃん」
「いつもはもっとこう付き合いたい!みたいなのがあったの。でも今回はそうじゃなくて、もうその人と話せるだけで…というか、その人と目が合うだけで、目の前を歩いてるだけで、息をしているだけで私は幸せ!なくらい綺麗なものなんだよ。そう、純粋なの」
「…純粋…?」

それのどこが?とでも言いたげな目で私を見つめる友人は、酷く憐れんだ様子で私の肩に手を置いた。

「犯罪にだけは走らないで」
「失礼な!!」

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