白井君の慰め方
「心外だ!」「純粋だって言ってるでしょ!」「生きててくれるだけで良いんだから!」みたいな事を言ったと思う。極め付けに「彼の幸せが私の幸せなの!」なんて言い切ったと思う。
「……」
息を飲んだ彼女は口を真横に結んで無言で私を見つめた。そして、瞬きを一つ。
「分かった、芸能人とファンだ」
「ファン?」
うんうんと頷いて、なんだかすっかり彼女の中では納得のいったご様子。
「恋というか、憧れ?」
「憧れ」
「尊敬?」
「尊敬」
「つまり、推し」
「……推し」
それはいわゆる推しメンってやつだと、彼女は言った。
「その人とどうこうなろうとはしてないんでしょ?でもその人の存在が全てなんでしょ?彼の幸せが私の幸せ、つまりそれってあんたの推しじゃん!」
「!…そ、」
そうかもしれない!!
恋だの愛だのに捕われ過ぎていたのかもしれない。恋する事を許されて浮かれていたけれど、結局私自身その先の恋愛は求めていない訳で、それってつまり私は白井君をただただ応援する事に全力を掛けるファンみたいなもので、私の好意は白井君にとって何の関係も無いのは当然という事で、白井君はむしろそれを分かっていてのあの時の発言だったともとれる訳で、初めから今日までの私と白井君の関係は、
「ファンと推しメンの関係だったのか!!」
という結論に至って、無事証明終了となった。