白井君の慰め方
「で?相手は誰なの?」
「白井君です」
その言葉に友人も深く頷いた。それで間違い無しのお墨付きの返事だった。
そうとなればもう、私を止めるものなどこの世のどこにも無い。
「お疲れ様!白井君!」
「相原さん」
部活終わりを校門で待ち伏せた私に、白井君は驚きの表情でピタリと足を止めた。一緒に帰る予定だったのであろう他の部員達から何やら色々ひやかされたけど、私には関係無い。だって白井君に会いたかった。会うにはこの方法が一番だった。
「どうしたの?何かあった?」
他の部員をさっさと帰らせると、心配そうに私の顔を覗き込んでくれる白井君に胸がギュッとする。
「ううん。何も無いんだけど」
「じゃあ何か用事?たまたま一緒だった?」
「ううん、そういうことでも無い」
「?じゃあえっと、」
「待ってたの」
「うん。何を?」
「白井君を」
「うん。…え?」
ピタリと止まった白井君が、目を丸くして私を見つめる。ポカンと口が開いたままで他の反応を見せないその様子はつまり、理解が追いつかない、意味が分からないといった類のもので…
「あ、会いたくなって、部活が終わるのを、待って…しまいました…」
そして、あ、これはダメなやつだと瞬時に理解した私は、今までの浮かれ上がっていた気持ちがサッと引いていくのが分かった。つまり冷静になりました。
「ご、ごめん白井君!流石に迷惑だったよね?!」
「え?あ、いや」
「気持ち悪いよね?!気持ち悪いよ、そうだよね!好きなら何やっても良い訳じゃないもんね!」
「!」
「そうだよ、なんでも良い訳じゃないよ。例えただのファンだとしてもやって良い事と悪い事はあるよ。というかファンだからこそのマナーみたいなのあるよね?もうほんとにごめん、私ってバカで」
「いや待って、待って相原さん、ファンって何っ?」