白井君の慰め方
「…でも、無意味じゃない?そんな事よりもっと大事な事が相原さんにはあるんじゃないかな」
「……」
だからこそだと思われる、随分と辛辣な言葉を頂いてしまった。そんな無意味な事をしてなんの意味があるかと、少しだけ柔らかくしたタッチで問われてしまった。無意味…無意味。私のこの行動、白井君を推す事は果たして無意味な事なのだろうか。
真っ直ぐに私を見据える白井君。不器用だけど優しくて真面目な彼は、気遣いが苦手な分尖ってしまったけれど、きっと今の言葉だって私をなるべく傷つけない様に選んでくれたものなはずだ。だってただ迷惑だったなら、きっと白井君はちゃんとそう伝わるように言うはずだ。それが彼の優しさだ。わざわざ無意味だなんて言うって事は、もしかしたら意味がある事が他にあるって事なのかもしれない、なんてーーそう、例えば、
「恋する事とか?」
パパパパっと、珍しく働いた私の思考回路が答えを弾き出す。そしてそれは正解だと、私は確信した。だって私に何よりも恋を勧めてきたのは他でも無い、彼だからだ。
「恋愛を諦めるなって言ってたもんね、白井君。恋してる私を見てるのが楽しいって。そんな事してないで早く新しい恋を見つけろって事?」
「……」
こんな事して何の意味があるのか。だったら新しい恋を早く見つけて先に進むべきだと、彼は言っているのだ。きっとそう。だってその証拠に彼は今否定しなかった。
…分かります。言いたい事は分かるし、理解しました。けれども私は、恋をしても先に進むつもりがないのです。恋の繋がる先を求めていないから、恋はしても恋愛はしたくない。だとしたら恋をする事、それこそ私にとっては無意味な物だ。それを白井君は知らない。だって白井君は、私の恋のする相手がすでに居て、それが自分だなんて思いもしていないんだから。