白井君の慰め方
「……」
「…白井君?」
「っ…」
目が合うと白井君は、気まずそうに顔を伏せた。白井君のつむじが見える。
「……」
「…ど、どうしたの?」
「……」
真っ赤だった顔は俯いて隠されたまま。でも耳が赤いからきっとまだ顔も赤いんだろう。そういえばこんな事前にもあった。あれは確か、駅で初めて慰めて貰った時の事。白井君と初めて二人で話した時の事。
「…あー、相原さん」
「!はい」
「その…ごめん。なんかその、俺が悪かった、よね」
「え?あ、いや…うん?」
二人の初めてに思いを馳せていた所でのまさかの急な謝罪に、我に帰ったばかりの頭でよく分からない返事をした。なんだ、なんで急に謝ってくれてるんだ。いや、今の今まで責めていたのは私ですが。
俯いたままの白井君が、チラリと顔を上げて私を見る。そこで私が理解していない事を察したのだろう。聡い白井君は上目使いに私を見たまま、そうだよなと諦めたような顔をした。
「あのーその、さ。相原さんはさ、楽しいんだよね?」
「うん?」
「俺の…ファン、的な事、やってる事…」
「うん。今一番楽しい」
そこはもう迷いなく、ハッキリキッパリ言える所だ。そしたらまた白井君は複雑そうな表情をしつつ真っ赤にした顔でふいっとそっぽを向いてしまった。なかなか長く目が合わない。照れているのだろうか、それとも苛立っているのだろうか。白井君の気持ちが良く分からない。