白井君の慰め方
はぁ…と、溜息をついてグランドへ目をやると、白井君が男子に絡まれていた。いつも弄られるとか、絡まれるという表現が正しい感じで何人かの男子と戯れている。たまに女子も入る。白井君はちょっかいだされるタイプらしい。思ったより話し易いって私も始め思ったからな…ちゃんと向き合って話してくれる真面目な所と乗ってくれる所のバランスが良いし、第一印象が冴えない事を気にしてるっぽい所も可愛いし、でも本当は背も高いし肌も綺麗だし声もカッコいいしのギャップが素晴らしいし、なにより苦手だなんだいいながら結局察して優しくしてくれる所なんて本当にズルイ…って、そっか。なるほど。だから皆白井君が無表情で一人の世界入ってても声掛けるんだ。白井君に起こる何かに興味を持つし何かを起こそうとするんだ。
つまり、私だけが白井君の素敵な所を知ってる訳じゃないって事だ!
きっと近ければ近い程知る事になるのだろう。他のクラスでただの冴えない男子でも同じクラスじゃ絡みたくなる男子な訳で、同じ部活の先輩後輩ともなると最早世話を焼きたくなる男子説まであり得る!私なんて一瞬で恋に落ちたようなものだ。今更そんな事に気づいていちいち気にしてる事自体可笑しい。
「あんたが嫉妬深いとか今更過ぎ。ウケんだけど」
「え?」
「いつもそうじゃん、先輩の時も然りよ。他の女がどうとか、元カノがどうとかぶつぶつ言ってたでしょ。え?まさかもう忘れた?」
「……」
…ほ、本当だ。それで結局友達だったのを知ったのも最後の時だった。気になって気になって聞けなくて拗らせての破局みたいなところがあった。そうか、私ってそういうの気にするタイプだったんだ!
ファンと推しの関係を提示してくれた彼女には感謝している。が、まさかもう一度こんな形でお世話になるとは…「白井に嫉妬とか笑」なんて鼻で笑う失礼な態度も華麗にスルーしよう。
「私ってなんて情けないんだろうと思う」
「あたしは好きだけどね、面白くて」
「やっぱり持つべきものは友…!」
「彼氏の次だけど。じゃ、迎え来たんで帰りまーす」