白井君の慰め方
「おつー」なんて後ろ手にヒラリと手を振られ、リア充の友人は悠々と去って行った。放課後一緒に残ってくれるなんておかしいと思ったんだ…待合わせまでの時間潰しだったとは。
にしても、白井君の部活が終わるまで後もう少しあるんだよな…どうしよう。
友人の「どうせ残るんでしょ?付き合うよ?」の言葉で結局残ってしまった訳だけど、本当はまだ本人に会う決心がついていない。今日もまた待ってましたーなんて、どんな顔で会いに行けばいいのか分からない。
迷惑に思われたら?普通に拒否されたら?またマネさんと話してる所に遭遇したら?二人が一緒に帰ってたら?
ファンです!と振り切っていたならば、そこはもう何があってもひと目見れて言葉を交わせて満足です!で終われたんだけど、やっぱり恋愛感情有りとなると相手に嫌われたく無い気持ちが大きくなる訳で、むしろ好かれて同じ気持ちになりたい訳だからその先を求めるようになってしまう訳で、つまりーー付き合いたいと、思うようになる訳で。
私、恋愛が上手く出来ないのに。今だってそう。好きだと思った途端に考え方が変わって、傷付きたくない気持ちが大きくなった分、相手に求める気持ちも大きくなっている。これがまた先輩の時のような、相手の気持ちなんて関係ない、私が傷付かなきゃそれでいい、みたいな自己満足的な恋愛へと発展していくのが怖い。結果、白井君を傷付ける事になるのが怖い。
そんなのはいけない。絶対にいけない。私は白井君が大好きだから、白井君を誰よりも大切にしたい。その為にファンという名前が使えるのなら、当たり前の顔をして使い続けるつもりだ。私が誰より白井君のファンなのも事実なのだから、嘘でも間違いでも無い分上手く使いこなせるはずだ。はずだけど…
「〜自信が無い…」