白井君の慰め方


昨日は結局一度も白井君と話せなかった。そして今日も朝から白井君におはようを言う機会も無く、白井君断ちが続いている状況である。これはいけない。深刻な白井君不足である。

せめて一目見たい…朝の時間を合わせてないから顔も見れてない…

ふらふらと隣のクラスへ足が向かう昼休み。教室に残っているだろうか。チラリとでも良いからあの真顔が見たい、白井君の通常モードを見るとなんだか安心するのだ。何処にいても変わらない彼の言葉は信じられるし、本心からのものなのだと思うと今までのやり取り全てがなんだか気持ち良い。白井君の心を簡単には映さない無表情は、誰よりも私に白井君の中身を見せてくれている気がした。誰の前でも変わらず、皆に平等で自分を大事にしている白井君。私とは正反対だ。

私は皆に平等に同じ対応が出来ない人間です。苦手だと思うと避けるし、好きだと思うと緊張するし、慣れたとしたって本心を丸々曝け出しているかと言ったらそれは…どうだろう。嫌われないように自然と距離を図りながら喋っている自覚がある。嫌われたくない気持ちがとても大きい人間なのだと最近よく思い知る。だから安心するまでは遠慮してしまう。

そういえば、昨日だってそうだ。あの人は本当に厄介だ…これ以上関わりたくないけれど、白井君に会うにはあの人に会うリスクを背負わなければならない。昨日の受け答えで満足してくれてたらいいんだけど…まぁ、もう興味なんてなくなってるか。リア充達は忙しいだろうし、そんな興味を引くような事なんて、

「だーれだ?」
「!」

ここは、白井君のクラスの前の廊下。私は白井君を探してクラスをこっそり覗き込んでいる所だった。人通りは普通にある。昼休みな分ザワザワしている。その中で、急に私の視界を遮る二つの掌。
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