白井君の慰め方

「なんかツンツンしてんのな、相原さんって」
「……そうですかね?」
「そうですねぇ。俺にはそうですけど、白井にはどうなんですかねぇ?」
「……」
「で、今日は来んの?」

…そういう事か!

「今日は…分かりません」

やばい、この人きっと白井君とのやり取りが気になってるんだ、きっとそう!あの時の私達を見たバスケ部内で話題になったんだ、だから自分だけ知らないとつまらないからこうやって私に絡んで来るんだ。白井君からわざわざ話さないだろうし、聞いたって教えないだろうし、だったら私の方にってなったんだったら辻褄も合う。私もファンだなんて言って余計に興味を持たせてしまったのかも…どうしよう。本当にそういうの嫌だ。白井君に迷惑がかかるに決まってる。

「昨日は帰ったじゃん。今日は来るでしょ?」
「分かりません」
「なんで?」
「まだ悩み中だから」
「来なよ、俺も居るし」
「ならやめます」
「なんで?!」

なんでって分かるでしょうよと、心の中で訴えながら三嶋君をジトッと見つめると、彼は何故か笑いだした。ゲラゲラと派手に笑うおかげで周りの注目が集まるのが分かる。困る。本当に困る。

「も、もう昼休み終わるんで」

笑ってる奴は放置して退散する事に決めた。さっと翻して元のクラスに戻ろうとする私の手を掴むと、耳元に顔を寄せて彼は言った。

「今日来なね。白井寂しそうだったよ」

…彼の言うそれは嘘かまことか。でも、もし本当にそうなのだとしたら、その可能性がある限り私はきっと断れない。行かない理由なんてあっという間に無くなるのだ。

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