白井君の慰め方
私に言える事、出来る事はこれくらいしかない。ただの友達では違和感があるのは私が白井君を好きになってしまったから。だからこうやってファンだから、なんて言い訳をする事でしか良い距離感を保てないけれど、やっぱり結局ボロが出る。もういっそのこと、白井君の事が恋愛感情の意味で好きですと言ってしまった方が良いのだろう。その方が自然な形で全てが終わる。白井君にも迷惑が掛からない。でも…終わらせたくない。
なんでこんなに拗れてしまったのだろう。全ては私がいけない。自分勝手な私がいけないのだ。ごめんなさい。ファンだからなんて言い訳まで手に入れてごめんなさい。好きな気持ちが捨てられなくてごめんなさい。本当はもう、もしかしてもう、
「相原さん!」
「!」
息が切れて立ち止まった所に、丁度その声は聞こえてきた。間違える訳が無い。この声にだけ、私の気持ち悪い聴力は力を発揮するのだから。
「白井君…なんで」
「なんでって、待っててくれたんでしょ?」
「置いてかないでよ」そう言って白井君は困ったように笑った。肩で息をして、慌てて追いかけて来てくれたのがありありと分かる様で。
「相原さん思ったより速いね…」
「…でも白井君はバスケ部でしょう」
「バスケ部だからといって足が速いとは限らないんだよ」
「と言いつつ追いついてるくせに」
「つまりそれだけ必死だったって事ですね」
「……」
なんで?どうして?言葉に詰まって…胸が苦しい。
「傍に行くって言ったでしょ」
「泣いてなくて良かった」優しく包むような声でそう言って、白井君は私の頭を撫でた。