白井君の慰め方
頭の中はハテナマークで一杯である。だって昼休みに外になんて出るはずのないこの人がここに居るなんて、そんな偶然なんてあり得ない訳で、今の言いようはまるで私の予定に合わせたみたいな、つまり私に会いに来たみたいな、
「…迷惑だった?」
「そんなバカな!!」
しょんぼりした顔で首を傾げる白井君の尊さと言ったら!!バカなっ、バカな私!!折角来てくれたのにバカな私!!
「嬉しいですありがとう!!」
思わず立ち上がったせいかお腹から声が出て、先生にジロリと睨まれた。ヤバイ、また明日も仕事になる訳にはいかないと、慌ててしゃがんで作業に戻る。
「……」
「……」
が、集中出来ない。何故なら隣の彼も当たり前の顔でそこに居るから。何を言うでも無く、何故か私の事を観察しているから。そう、じっと草をむしる私の横顔やらなんやらを見ている感じが、目を合わさなくてもひしひしと伝わってくるのだ。一体なにが起こっているの…?
「…白井君」
「何?」
「えっと…顔に何かついてる?」
「ううん」
「じゃあ何か用とか?」
「ううん」
「ううんか…」
こんな事なんて無い。普段白井君とこうして昼休みに二人で並べる機会なんて本当にない。だって白井君はいつも他の教室で友達数人と固まって、ゲームしたりスマホいじったりしてるから。だからこれはとてもチャンスだ。よく分かんないけど有難いサプライズ。だからこの貴重な時間を無駄にしたくはないけれど…でもやっぱり、気になってしまう。
「じゃあなんで?」