白井君の慰め方

パニック故の出来事だった訳だけど、連投された私の問いは白井君にとって失礼なものだったのだろう。サッと表情が変わり、明らかにムッとするものだから、私は更に焦った。

「なんでなんでって何回も聞くの?」
「あっ、ご、ごめん」
「いいけど。いいけどさ、答えは変わらないよ。俺が会いたいから来ただけ。迷惑なら明日からはやめる」
「明日も会いに来てくれるつもりだったの?!」
「…そうだけど」
「なんで?!」
「……」

ジロリと向けられる文句ありげな視線。いけない、またなんでと聞いてしまった。白井君完全に怒ってるよ…なんとかしないと、

「あ、あの、嬉しい!嬉しいよほんと!でもこんな連日悪いし、次は私が行くし、ていうかそれが普通だし、もともとそうな訳だし、」
「別に連日だろうが何も悪くないよ。それか何度も聞いてるけど迷惑ならハッキリ言って欲しい」
「それはない!断じて違う!」
「じゃあなんでそんなに受け入れようとしないの?」

受け入れようとしないって…だってこんなの可笑しいじゃないか。こんな事が現実で起きるなんて…しかも急に。なんの気配も無く、突然。当たり前みたいな顔をして。

「だって…今までさ、白井君の方から来てくれた事なかったでしょ?私の一方的なストーキング行為というか…ファン活動というか…だからびっくりしちゃって、受け止められなくて」
「でも今は今までとは違うでしょ」
「うん…うん?」

え?今までとは違う、とは?

ハテナマークを浮かべる私に、白井君も首を傾げた。あれ?と。分かってない?と。そして何も伝わってこない顔をしているであろう私に、白井君は告げた。

「だって俺達、付き合ってるよね?」
「………え?」

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