白井君の慰め方
『俺達、付き合ってるよね?』
頭の中で、そのフレーズがエコーをかけて繰り返される……ちょっと待って。考えて、考えて、聞き間違いなのだと納得する。
「あの、もう一回言って貰っても…?」
「?だから、付き合ってるよねって」
が、間違いでは無かった。無かったのだ。
「わ、私が?!白井君と?!つき、あっている?!」
「うん」
あっさり頷く白井君に現実味を感じない…まるで夢…昨日あまりにも良い思いをしてしまったせいで私の妄想が暴走して夢想中という事で…と、くるりと現実逃避をする私に、
「え、俺昨日好きだって言ったよね?」
と、とどめの一言で、白井君が現実へと連れ戻す。そう、これは現実。朝から一度も夢など見てはいないのだ。
「いっ、言ってたけど」
「相原さんも嬉しいって言ってくれたと思うんだけど」
「言った。確かに言ったけど」
「そうだよな。だから付き合い始めた、つもりだったんだけど…」
「違った?」と、首を傾げる白井君の、不安そうな表情。
「違わない!!」
そして、白井君を悲しませる出来事を許せない私が間髪入れずにそう答えて、証明終了。なんと私は私が知らないうちに白井君の彼女になっていて、白井君は私の彼氏になっていた。なんという事だ。なんという事だ。今日の私は朝一から白井君に彼女扱いされていたのだ。なんという事だ…!