白井君の慰め方
「マジか、ウケる。全部だって」
「おまえにもそういう日が来るんだな」
「背が高いから?」
「前髪長いから?」
「無口でクールみたいなやつじゃね?」
「相原さーん。それ冴えない隠キャなだけだから間違えないようにねー」
そして、ゲラゲラ笑いだした男子達。「俺も前髪伸ばそっかなー」なんて言って、更に盛り上がる始末。
それを聞いた私はというと、勿論席を立った。そっと教室の扉を開けて、そのまま廊下に居る彼らの前に立つ。言ってやらなければならない事がある。
「それは白井君の良い所でしょう?何が面白いの?」
「は?え、何?」
まさか出てくるとは思わなかったと、目を点にした彼らだった。が、私の言葉を聞いてすぐにまたヘラヘラし始める。
「良い所とかウケる。相原さんセンスねー」
その対応に、ぷっちんと、堪忍袋の尾が切れた。
「センスない?そりゃあ確かに、私はセンスなんてないかもしれない。でもそれと白井君が素敵なのは別の話でしょう?」
「え、何。まさかキレてる?」
「ガチギレに決まってんだろーが!」
思わず張り上げた声に、彼ら以外の通行人も足を止めたのが分かった。みんなこちらを見ている。でもそんな事は関係ない。だってこの人達は私の大好きな白井君をバカにしたのだ。
「何?白井君は穏やかで優しくて自分に芯がある落ち着いた人だけど、それを冴えない隠キャとしか表せないあんたのセンスこそどうなってんの?冴えない隠キャだろうがなんだろうが白井君であれば世界を救うんだよ!」
「……」
「私は白井君の全てが好きだし、白井君を好きなセンスに誇りを持っています!あなた達にとやかく言われる筋合いはないと思っているけども!白井君をなんとか貶めようとするその態度がすごく気に入らない!!」
「……ふっ、そうですか」