本命同盟
年が上がるごとに両親は忙しくなってきて、誕生日もクリスマスもお正月でさえも家にいることはなくなった。


私は、二人が今、何をしているのか知らない。


もう5年、まともに顔を見ていない。


ただ、机の上に置かれたお札を見るたび、私の存在を否定したくなる。


私が大きくなればなるほど、心がすさんでいくような気がした。



自分とは何か


その問いだけが私の中を駆け巡って、いまだにその答えは出ていない。


棚の上にある写真に目をやった。


私と両親が映る一枚。


小学三年生に上がる少し前の春休みに、テーマパークに出かけた時のものだ。


とても、いい思い出だった。


楽しくて、夜の暗い中とは思えないキラキラとした世界が私を引き込んだ。


思えばそれが、家族でとった最後の写真だった。


だけど、それを入れた写真立ては、ところどころひびが入って、破片が消えているところもある。


私がゴミ箱に捨てられたものを拾って直したものだ。





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