本命同盟
写真たてなんて買い替えればよかったのに、そうはしなかった。


どうせ、買い替えた所で私の両親がそれに気づくことなどないのだから。


私の中で意地があったのかもしれない。





・・・いや、あの頃の私はただ、元に戻りたかっただけなのかもしれない。



元に戻れると信じていたかったーーー




食べ終わったお皿をシンクにもっていく。


洗ったお皿の水気をふき取って片づける。





私は、家にある唯一の和室に足を踏み入れた。


小さな仏壇の前で膝をつく。


線香に火をつけて、りんを鳴らした。


仏壇に飾られた写真から、笑顔で私を見ているように見える。


毎日思う、"私も連れて行ってほしかった’’って。


それでも、


私には大切な友達がいて、

学校に行く日々が楽しくて、

積み重なっていく思い出が何より大好きだから、



自分でそれを壊すようなことは絶対したくない。









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