二人を繋ぐ愛の歌
「なるほどなるほど?南尾さんに勝ち目なしって感じね?沙弓はイケメンの南尾さんより、ダサメンさんを選んだわけだ?」

遥はそう言うとさらに笑みを深くした。
やられた……!!と思った時にはすでに遅く、沙弓がその場に突っ伏すと遥が慰めるようにその肩を叩いた。

「……謀ったでしょ、遥」

「失礼ね、沙弓の気持ちを簡単に聞き出しただけよ。
変なとこ素直に言わない頑固なところがあるからねー」

困ったように眉を下げて言われれば反論することもできない。
沙弓は素直に負けを認めるとビールをグイッと一気に呑み干してグラスをテーブルに置いた。

「言っとくけど、全然ダサくなんかないんだからね?」

「はいはい、中身が格好良いんでしょ?例えばどんなところ?」

「えっと、決定的な言葉はないけどちゃんと大切に想ってくれてるのが分かるような言葉をかけてくれたり、よく笑うところが可愛かったり……行動でもたまに示してくれたり……」

「なによもう、ベタ惚れじゃないの。
お互いそんなに分かりやすく好きあってるなら早く付き合っちゃいなさいよ!話聞くだけで胸焼けしそうだわ」

遥がニヤニヤしながら枝豆を摘まんでそう言うが、沙弓は困ったように眉を下げると緩やかに首を振った。

「……まだちょっと付き合えないかな」

その言葉に遥が眉を寄せて訝しげな視線を向けてくるが、沙弓は苦笑して誤魔化した。
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