二人を繋ぐ愛の歌
長い間水に当たっていたお陰で体にこもっていた熱はすっかり消えていた。
脱ぎ着しやすいラフな服に着替えると、すぐに与えられた控え室に戻った。

そこで本番の衣装を着たりヘアメイクをしてもらうのだけれど、今回はそれらをこなしながら雑誌のインタビューにも応えるという初日から中々ハードなスケジュールだった。

ハルトと同じくシャワーを浴び終えラフな服を着ているユウナと、先に控え室にいたスタッフと共に、この後着る衣装の順番やMCの時間を確認しつつ準備しているとノックの音が聞こえた。

「ハルト、ユウナ、雑誌記者の方が来られたぞ」

「どうぞ、入ってください」

ドアの向こうから聞こえた堀原の声に応えるとすぐにドアが開き、堀原と雑誌記者の女性が入ってきた。

何度もインタビューされたことのある人で最早顔見知りになっているその人は、室内に入ると丁寧に頭を下げてからすぐに机の上にノートや筆記用具、ボイスレコーダーを並べ出した。

「お久しぶりです、今回もお忙しい中でのインタビューの快諾ありがとうございます。
いつも通り、ボイスレコーダーの許可もお願いしますね」

「お久しぶりです、いつもドタバタしていてすみません。
時間もあまりないので早速お願いしますね」

記者の言葉ににこやかに応えたのはユウナだった。

MCもテレビも雑誌のインタビューも、主に受け答えするのはユウナが担当している。
振られた話にだけ答えるハルトはユウナと違ってインタビュー中はいつも暇を持て余していた。
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