二人を繋ぐ愛の歌
「嘘……陽人?」
途切れることのない振動はメッセージではなく電話の着信を告げていたのだけれど、予想していなかった人物からの電話に呆然としていると遥に肩を掴まれ思いきり揺すられた。
「ちょっと、何ぼーっとしてるのよ!
久しぶりの連絡なんでしょ?早く出ないと!」
「でも、もうすぐ休憩終わっちゃうし……」
「そんなの何とでも誤魔化してあげるから!
ほら、早く行くっ!!」
遥の剣幕に押されて沙弓はいつ振動が止むかも分からないスマホにもう一度視線を向けると、ぎゅっと強く握りしめ立ち上がった。
「ちょっと行ってくる……!」
笑顔の遥に見送られ沙弓は足早に部屋から出ると、会社の外側に設置されている非常階段の踊り場まで急いだ。
人気のないことを確認してからスマホを指でスライドさせ、耳に当てると沙弓は慌てて口を開いた。
「は、陽人!?
出るの遅くなってごめんねっ!?」
電話に出た瞬間に焦った声で捲し立てたからだろうか、電話の向こうにいるはずの陽人は暫く間を開けてから、ははっ。と突然笑いだした。
『仕事中だったら悪いかと思ってたけど、しぶとく鳴らしてて良かった。
……やっと沙弓の声聞けた……』
「っ……!」
そうだった。
陽人の電話には警戒しなければいけないのだった。
三週間以上前に固く心に誓ったことは連絡の取れない不安と寂しさ、そして連絡が来たことへの喜びでどこかにいってしまっていたようで、機械越しに耳元に届く陽人の甘い声に一気に顔が赤くなりドクンと胸が高鳴った。
途切れることのない振動はメッセージではなく電話の着信を告げていたのだけれど、予想していなかった人物からの電話に呆然としていると遥に肩を掴まれ思いきり揺すられた。
「ちょっと、何ぼーっとしてるのよ!
久しぶりの連絡なんでしょ?早く出ないと!」
「でも、もうすぐ休憩終わっちゃうし……」
「そんなの何とでも誤魔化してあげるから!
ほら、早く行くっ!!」
遥の剣幕に押されて沙弓はいつ振動が止むかも分からないスマホにもう一度視線を向けると、ぎゅっと強く握りしめ立ち上がった。
「ちょっと行ってくる……!」
笑顔の遥に見送られ沙弓は足早に部屋から出ると、会社の外側に設置されている非常階段の踊り場まで急いだ。
人気のないことを確認してからスマホを指でスライドさせ、耳に当てると沙弓は慌てて口を開いた。
「は、陽人!?
出るの遅くなってごめんねっ!?」
電話に出た瞬間に焦った声で捲し立てたからだろうか、電話の向こうにいるはずの陽人は暫く間を開けてから、ははっ。と突然笑いだした。
『仕事中だったら悪いかと思ってたけど、しぶとく鳴らしてて良かった。
……やっと沙弓の声聞けた……』
「っ……!」
そうだった。
陽人の電話には警戒しなければいけないのだった。
三週間以上前に固く心に誓ったことは連絡の取れない不安と寂しさ、そして連絡が来たことへの喜びでどこかにいってしまっていたようで、機械越しに耳元に届く陽人の甘い声に一気に顔が赤くなりドクンと胸が高鳴った。