二人を繋ぐ愛の歌
『南尾さん……あ、南尾さんって我が社の営業のホープで高収入、高学歴、出世頭のイケメンで彼氏にしたい人ナンバーワンなんですよー。
陽人さんとえらい違いですねー』

ケラケラ笑いながらそんなことを言う遥の言葉を耳にしながら、陽人は以前ハルトとして会った時と陽人として会った時の南尾の様子を思い出した。

確かにプライベートの姿で出歩く陽人の容姿と南尾とでは天と地ほどの差があるだろうなと思っていると、遥は陽人からの返事がないことに気付かないのかまた喋りだしていた。

『その南尾さんが沙弓に気があるらしくて、沙弓に公衆の面前でアプローチしだしたんですよねー。
それで南尾さんが沙弓を狙ってるって噂が広まっちゃって、おかげで沙弓今日、南尾さんを狙ってる人達から嫌み言われたり不要な仕事回されたりして大変だったんですよー?
……それもこれも、あんたがちゃんとした関係に進まないからじゃないのっ!!』

のんびりとした口調だったのに突然声が一段階低くなったと思ったら突然怒鳴られて、陽人は思わずスマホを耳から遠ざけて画面をじっと見つめた。
その間もずっと何かしら怒っているような声が聞こえてきて、陽人は不承不承ながら再びスマホを耳に当てた。
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