二人を繋ぐ愛の歌
その時の事を思い出していたらいつの間にかスタジオについていて、先に来ていたらしいユウナがスタッフや出演者のアイドル達と楽しそうに笑っていた。

「あ、ハルト君、今日はよろしくね」

「ああ……拓也さん。
よろしくお願いします」

話しかけてきたのは古河拓也(こが　たくや)と言うハルトの父親である勇人が所属するアイドル界の頂点、Kaiserのもう一人のメンバー。

超すべき相手の登場にハルトはアイドルスマイルから一瞬素に戻ってしまったが、すぐにハルトの仮面を被って笑顔で頭を下げた。

「ハルト君は相変わらずだなぁ。
陽菜ちゃんと勇人……ご両親が心配するわけだ」

「……拓也さん、プライベートな話は止めてもらえますか？」

幼少の頃からの周りの態度のせいで仕事中や現場などで両親の話やプライベートな話題を振られることが好きになれず、ハルトはアイドルらしからぬ嫌そうな顔をすると拓也は苦笑した。

「ごめん、ごめん。
ハルト君はプライベートな話は嫌いだったよね」

「分かってるなら止めてください」

「うん、そのクールな所は勇人そっくりだなぁ」

冷ややかな視線でそう言うが拓也は物怖じせずに笑って勇人と比較する。
赤子の時から相手をしてもらっていたからか、みんなが怖がるようなハルトのその視線も拓也には全く効かないようだった。
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