二人を繋ぐ愛の歌
『想像に任せると言うことは、肯定ととっても良いと言うことでしょうか?』

『それすらもお任せします。
アイドルは秘密を持って、より輝くと思いますから』

『やはりハルト君はこの手の話は手強いですね。
では、“恋をしているかも”と言う前提でお聞きしたいのですが、ハルト君が好きになる方はどのような方でしょうか?』

『そうですね……』

今までならその手の質問はのらりくらりとかわしてきたのだけれど、今回は脳内に沙弓の姿が過って少し考えてしまった。

質問の答えに間が空いてしまったことでスタジオにいる全員がハルトに注目をする。
その事に気付かず無意識に目を細めて柔らかく微笑むと、ハルトは小さく息を吸い込んだ。

『もし好きになれる人と出会えたとしたら……きっとその人は、アイドルではない素の自分をさらけ出しても受け止めてくれて、自然体の自分でいさせてくれる……そんな人だと思います』

そう言うと隣に座っているユウナとスタンバイが終わっていた勇斗と拓也が驚いたような表情でこちらを見ていた。

その事に気付いていない司会者は、ハルトから滅多に聞き出せない好きになる人の情報を聞けて満足そうに頷くと、番組を進行させた。
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