二人を繋ぐ愛の歌
「さっきも言いかけたけど、勇人と陽菜ちゃんがハルト君のこと心配してるんだよね」

「俺もいい年だし、心配されるようなことはそんなにないと思うけど」

「それが心配しまくり!」

いい大人の男が両親に何を心配されないといけないのか。
ハルトはあからさまに眉を潜めながら首を傾げた。

「アイドルとして両親の力を借りずにここまで上りつめたのに、何が心配なの」

「強いて言えばその、“アイドルとしてのハルト君”が心配なんだよ」

その言葉の意味が分からずハルトはさらに首を傾げると、着替え終わった拓也は近くの椅子の背もたれを前にして跨ぐように座りハルトを見上げる。

親子ほどの年齢差があり、この業界では大先輩である目の前の人を腕を組んで見下ろすのは礼儀としてはなっていないけれど、今はプライベートなのでその格好を崩すことをしなかった。

「小さい時から見てきたけど、ハルト君はずっと“アイドルのハルト君”を作り上げてきただろ?
それこそ、素の自分をさらけ出すこともほとんどしないでさ」

「……アイドル界で誰よりも何よりも頂点に立つ。
それが小さい時からの俺とユウナ、そして朝陽君の野望だから。
その為ならハルトとしてアイドルを極めないとーー」

「でも、頂点に立った後は?」

そう聞かれてハルトはいつの間にか反らしていた視線を拓也に向けた。
拓也は背凭れに両腕をかけてその上に顎を置き、ハルトを見上げるとそのまま口を開いた。
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