二人を繋ぐ愛の歌
数日経っても続報は出ず、陽人からの連絡もなかった。
そして土曜日の早朝にスマホに電話がかかり、寝起きのぼんやりした頭で出てみると【多幸】の叔母からだった。

『沙弓ちゃん、ごめんねー。
久しぶりに沙弓ちゃん指名でお弁当の配達が入っちゃってー』

「だから、お弁当の配達の指名なんておかしいですって……」

寝惚けながらそんなことを言うけれど叔母は、そうなのよねー。と笑うだけで聞く耳を持たない。
けれど、前回と同じ指名配達ということは頼んだ人物は同一人物の可能性が高い……つまり陽人からなのではと思いながら沙弓は体を起こした。

「配達の時間、何時からですか?」

『行ってくれるの?良かったぁ、さすが沙弓ちゃんね!』

「いいから、何時からですか?」

配達の時間によって用意を急がないといけないではないかと沙弓は叔母に強い口調で聞くと、叔母はウキウキした様子で昼からだと答えた。

「じゃあお昼前にそちらに行きますね」

『ありがとう、待ってるわね!』

そう言ってすぐに通話を切る辺り店の準備が忙しいのだろう。
少し早めに行って少しでも店を手伝おうかなと考えながら沙弓はゆっくりとベッドから下りたのだった。
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