二人を繋ぐ愛の歌
どれくらい待たされたのか、近くにあった椅子に座ってぼんやりと待っていると外から鍵を外す音が聞こえた。

次いで聞こえるのはドアを開ける音。
そちらに顔を向けると案の定、ハルトが周りを気にしながら配達してきた弁当を二つ持って入ってきた。

「お待たせ、ユウナを撒くのに手こずってさ。
あ、弁当は代わりに配達しといたから」

「別に待たされるのはいいけど鍵をかけるのはどうかと……監禁された気分だったわ」

「そうでもしないと誰かに沙弓を見られる可能性があったんだよ」

恨みがましく言ってみてもハルトは苦笑して軽く受け流して沙弓の向かい側の椅子に座る。
弁当を一つ差し出して食べるように勧められると沙弓は釈然としない気持ちで弁当を受け取った。

「……今はもう配達の手伝いもしてないし、そもそも配達人の指名も受け付けてないんだからね?」

「それは……ごめん。
沙弓に直接話したいことがあったんだけど、どうしても時間がとれなかったんだ」

困ったように眉を下げるハルトに沙弓はドキッとした。
ハルトの直接話したいことがもしかしたら沙弓がここ数日ずっと気になっていた事なのかもしれないからだ。

早く話を聞きたくて仕方なかった沙弓がじっとハルトを見つめると、ハルトはその視線に気付いて姿勢を正した。
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