二人を繋ぐ愛の歌
『そろそろですね、ランキング発表……。
実はこの発表の瞬間だけ、テレビの生放送もしてるんですよー』

『勝った方はその新曲を歌うところまで放送するんだったよね。
すごいカメラの数なんだけど、これはこっちが勝ったかな?』

『何言ってるんですか、こっちもすーっごい数のカメラがスタンバイしてくれてますからね!』

和やかに二人が話している間、二分割されたスクリーンには十位からランクインされた曲が少しずつ表示されている。
もちろんまだどちらの名前も出ておらず、誰もが口数を減らし会場中の空気が張り詰めていた。

『……残り二つになりましたね』

『そうだね……』

順調に進んでいたランキングも残すところあと二つで止まってしまった。
誰もが息を飲んでスクリーンを見つめる中、今まで黙っていたハルトが徐に口を開いた。

『Shineが頂点になったら、前からの条件通りユウナを結婚させてもらうよ』

その言葉に反応したのはスクリーンに映っていた勇人で、勇人はカメラに視線を合わせると小さく口を開いた。

『そこまでの自信があるんだな?』

『あるよ。
そうじゃないと勝負なんて挑まないでしょ』

『……正直、俺達が引退するまで結婚も頂点も諦めるのかと思ってたが?』

挑発的な物言いにハルトは口角を上げて目を細めた。
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