二人を繋ぐ愛の歌
「ちょっと沙弓、どういうことなのよっ!?」

「お、落ち着いて遥っ、話せば長く……」

「長くなってもいいから今すぐ話しなさいっ!!」

堀原に無理言って遥も一緒に連れてきてもらい、前回も通された控え室に入ると堀原は足早にその場を去った。
すると当然というか何というか、遥に凄い剣幕で詰め寄られてしまった。

「いつの間にハルト君とあんな関係になったのよ!!て言うか、あのダサメンの陽人さんがハルト君!?そんなの気付くわけないじゃないっ!!」

「う、うん、そうだよね。
私もハルトに言われるまで全然気付かなかったし……」

「沙弓の場合は興味無さすぎて気付かなかっただけでしょ!私、ハルト君だって知らずに酔った勢いであんな……」

「あ、やっぱり君が電話で南尾のこと教えてくれた人だったんだ?」

興奮する遥を宥めているこの部屋にはいなかったはずの声が聞こえてきて遥と共にドアの方へ顔を向けると、そこにはライブが終わった直後なのかタオルを首からかけて滴る汗を拭いながらアイドルスマイルを浮かべているハルトが立っていた。

「ハ、ハル……ハルト君……っ!!」

「どうも、普段はShineとして、プライベートではダサメンとして過ごしてる越名陽人です。
南尾の件では助かったよ、ありがとう」

ハルトが微笑みながらそう言うと、遥は真っ赤になって口を両手で押さえていた。

これがアイドルを目の前にした人の反応なのかと自分の時と比べてかなり違うことを認識すると、初対面時のハルトの何とも言えなさそうな微妙な表情に今更ながら納得してしまうのだった。
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