二人を繋ぐ愛の歌
「今日のライブに沙弓が来るって聞いてなかったから驚いた。
ユウナにステージ上で知らされた時にも確かめに行こうかと本気で思ったくらいだったし……でも、ここにいるって分かってからいつも以上にやる気が出た気がする」

「えっと、今日は遥にチケット貰ってたまたま来れて……」

今までと雰囲気も眼差しも何もかもが違うハルトの態度に沙弓は視線をさ迷わせる。
たまに甘い雰囲気を醸し出す時はあったけれど、それは二人きりの時だけだったし今は遥も朝陽もいる。

微妙な関係とやらはどうなったのかと思っているとハルトはライブの時のように額を合わせてきた。

「来てくれたおかげで言いたくても言えなかった言葉をこんなにすぐに伝えられる……。
沙弓、好きだよ……愛してる」

「っ!?」

まさかこんなところで愛の告白をされると思わなかった沙弓に心の準備なんてものはなく、ぶわっと顔を赤くさせた。
そのまま硬直した沙弓にお構いなしのハルトは、もう離したくない。大好きだよ。と囁いてくる。

そんなハルトに苦笑いした朝陽は呆気にとられている沙弓とは別の意味で硬直したままだった遥に声をかけていた。

「えっと……遥さんって呼んで良いかな?俺はShineのプロデューサーの秋村朝陽。
よろしく」

「……あ、は、はいっ。
沙弓の同僚の遥です。
こちらこそよろしくお願いします」

「テレビで見るハルトと違って驚いたでしょ。
正直、俺も……見ての通り嶋川さんも驚いてるんだけどね。
……まさかタガが外れたらこんな風になるなんて思わなかった」

「そう……ですね。
すごく驚いてます」

戸惑いながら頷く遥に朝陽は、そうだよなー。と笑うと未だに沙弓にくっついているハルトを引き剥がした。

不満そうなハルトは朝陽に沙弓の向かい側の椅子に座らされ朝陽がその隣に座ると、ハルトは一つ息を吐いてからこれからの事を沙弓と協力してくれそうな遥にいろいろと話しておきたいと口を開いた。
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