二人を繋ぐ愛の歌
漸く陽人の笑いがおさまり沙弓の機嫌がなおった頃に注文した料理が運ばれてきた。
沙弓が頼んだ料理を食べながら色々な話をしている間、陽人はずっと楽しそうに笑っていた。

別に沙弓の話が特別面白かったわけでもないだろうに何故ずっと笑っていたのかは分からなかったけれど、会社で見た時のようなアイドルスマイルではないごく自然な笑顔で楽しそうに笑っていたので沙弓も自ずと気にならなくなった。

「ああ、旨かったー。
【多幸】の弁当もそうだけど、あそこも家庭的な味で懐かしい感じだった」

「満足していただけたようでなによりです」

店を出て駅まで歩いている道で沙弓はさっきまでの楽しい時間を思い出しては微笑んだ。
そうしているとふと視線に気付いた沙弓が顔を上げると、陽人はじっと沙弓を見下ろしていた。

「どうしました?」

「あのさ、敬語やめない?」

突然言われた言葉に沙弓は首を傾げ、疑問に思った事をそのまま口にした。
< 46 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop