二人を繋ぐ愛の歌
「えっと……お察しの通り、その日その時間に陽人にメッセージを送りました。
でも、タイミング良く他の人も送っただけかもしれませんけど……」

「いやいや、そんな奇跡的なタイミング中々ないでしょ。
そっか、やっぱり嶋川さんだったんだなー」

気になっていたことが分かったからなのか朝陽は嬉しそうに頷いている。
満足そうな朝陽に次は沙弓が問いかける番だった。

「でも、何でそのメッセージの相手が私だって分かったんですか?」

「んー……勘としかいいようがないんだけど、ビネガードリンクの打ち合わせで初めて会った時にハルトが一人だけ部屋に戻ったでしょ?
で、その日にさっきハルトが番号交換した仕事用とは別のプライベート用のスマホに未登録の番号からメッセージが来て、警戒心の強いハルトが一切警戒することなく嬉しそうにしてたんだよね。
その時にもしかして嶋川さんかなーって勝手に思ってたんだけど、確信したのは今日弁当を配達してきたのが“偶然”にも嶋川さんだったこと。
ついでに注文したのはハルトで、弁当が一つ多いっていう普段はしないミス……これはもう“偶然”じゃなくて“必然”で、ハルトは“嶋川さん”とゆっくり弁当を食べたかったんじゃないかって」

「すごい……まるで探偵みたいですね」

笑顔で一気に話した朝陽に沙弓は目を丸くしながら拍手をしていると、店の出入口から来客を告げるベルが鳴り響いた。
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