二人を繋ぐ愛の歌
「すごい、みんな全然気付かないんだ……」
握られたままの手はそのまま力強く引かれ、歩きながら思ったことを呟くと足を止めることなく陽人が小さな声で答えた。
「……結局みんな外見しか興味ないんだよ」
その言葉に陽人の方を見るが、真っ直ぐ前を向いている上に前髪で顔を隠した陽人の表情を伺い見ることは出来なかった。
そうして辿り着いたのは店から近いところにある駐車場。
車はどれかと聞かれて今度は沙弓が先導して歩き、自分の車の前まで行くと手を握る力が少し強まった。
「俺、走ってきたから足がないんだよね。
もうスタジオには用がないし、ここ駅から遠いし」
「……もしかして乗せてって言うこと?」
「沙弓さえ良ければ、だけどね」
「わたしは別にいいけど……」
「ありがとう、助かる」
さっき連絡先を交換した時のような打算的な笑顔ではなく自然な笑みを浮かべた陽人は目を細めてそっと親指で手の甲を撫でてから手を離した。
その動作にドキッとしたけれどすぐに我に返り車のロックを解除すると運転席に乗り込み、同じようなタイミングで助手席に乗り込んだ陽人に視線を向ける。
「えっと……お客さん、どこまで行きますか?」
「とりあえず、最寄り駅まで頼もうかな」
「了解」
タクシーの運転手とその乗客のような会話をして車を走らせると、暫く流れる景色をぼんやりと見ていた陽人がゆっくりと口を開いた。
握られたままの手はそのまま力強く引かれ、歩きながら思ったことを呟くと足を止めることなく陽人が小さな声で答えた。
「……結局みんな外見しか興味ないんだよ」
その言葉に陽人の方を見るが、真っ直ぐ前を向いている上に前髪で顔を隠した陽人の表情を伺い見ることは出来なかった。
そうして辿り着いたのは店から近いところにある駐車場。
車はどれかと聞かれて今度は沙弓が先導して歩き、自分の車の前まで行くと手を握る力が少し強まった。
「俺、走ってきたから足がないんだよね。
もうスタジオには用がないし、ここ駅から遠いし」
「……もしかして乗せてって言うこと?」
「沙弓さえ良ければ、だけどね」
「わたしは別にいいけど……」
「ありがとう、助かる」
さっき連絡先を交換した時のような打算的な笑顔ではなく自然な笑みを浮かべた陽人は目を細めてそっと親指で手の甲を撫でてから手を離した。
その動作にドキッとしたけれどすぐに我に返り車のロックを解除すると運転席に乗り込み、同じようなタイミングで助手席に乗り込んだ陽人に視線を向ける。
「えっと……お客さん、どこまで行きますか?」
「とりあえず、最寄り駅まで頼もうかな」
「了解」
タクシーの運転手とその乗客のような会話をして車を走らせると、暫く流れる景色をぼんやりと見ていた陽人がゆっくりと口を開いた。