二人を繋ぐ愛の歌
「それよりも、私が休憩スペースからスタジオに戻ってから南尾さんと何かあった?二人とも戻ってくるの遅かったし、戻ってきてからは雰囲気が違ってたし……」

『うーん……あったと言えばあったかな』

苦笑混じりの声で肯定した陽人に沙弓は首を傾げた。

アイドルをしている時のハルトと営業部トップクラスの南尾、二人とも相手を飽きさせないような話題を振ってくるのがすごく上手で相手に嫌悪感などを抱かせない雰囲気を持っている。
そんな二人に一体何があったのかと気になったけれど、二人の事で沙弓が首を突っ込んで良いのか分からず一瞬言葉に詰まってしまった。

『気になる?詳しくは話せないけど簡単に言えば釘を刺された、かな』

「釘を刺す……?」

あの南尾が、初対面で仕事相手でもあるハルトに?と俄に信じ固い言葉に驚いていると、陽人は何について釘を刺されたのか教える気はないのか話題を変えてきた。

『ところでさ、今CMのイメージソング作ってるんだけど思ったように進まなくてさ。
見かねた朝陽君に息抜きしてこいってビアガーデンのチケット貰ったんだよ』

「ビアガーデン?」

『そ、沙弓も一緒にどうかなって。
てか、沙弓しか誘える人いないから来てほしいんだけど』

そう断りづらくなるような事を言われ、沙弓はほんの一瞬考えたが陽人と出掛けてみたいという欲には勝てず了承したのだった。
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