二人を繋ぐ愛の歌
「ちょ、ちょっと陽人!何で否定しないで肯定しちゃうの!?」

やっとこっちへの興味がなくなったかのようにそれぞれが飲み食いを再開すると、沙弓は怒ったらいいのか喜んだらいいのか感情の表し方が分からず困った状態で、“彼氏”と言われたことを否定しなかった陽人を未だに真っ赤な顔のままで睨んだ。

「……別に、ここにいる人達は知り合いでもないんだから無闇に否定して盛り上がってるところに水を差す事もないでしょ」

「だからって……」

「それに」

尚も言い募ろうとした沙弓の言葉を止めた陽人に沙弓は口を噤んでその先を待つと、陽人は前髪を掻き上げて隠していた瞳を露にすると真っ直ぐな眼差しを向けた。

「俺は、否定したくない」

「え……」

「まだ今はそんな関係じゃなくても、俺はいつかはそうなりたいと思ってる」

その言葉に驚いて目を見開き、意味を理解したその瞬間に沙弓は両頬に手を当てた。
熱が集まりすぎてどうにかなりそうだと俯くと陽人は右手を上向きにして沙弓の視界に入るように差し出した。
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