冬の王子様の想い人
2.王子様との再会
四時間目が過ぎる頃には、王子様の話を聞いて落ち着かない気分になったのは気のせいだと思えていた。
衝撃的な出来事に驚いたから、それだけよ。
振り子のように不安定な気持ちに無理やり理由をつけて蓋をする。
三時間目の休み時間に堤くんが委員会の欠席を再度謝罪してくれて、来月は自分がひとりで出席すると申し出てくれた。
これでもう王子様と関わらないですむ、と浮かれる私を親友は胡乱な目で見ていた。
昼休み、事件は起こった。
いつもと同じようにお弁当を広げ、梨乃と向かい合って座る。
今日は三色そぼろ弁当だ。
千帆ちゃんは昨日に引き続いて部活動で呼び出されていた。
「原口さん、いる?」
開け放たれた教室の前側の扉から突然響いた低い声に、教室内がしんとなる。
ありえない人物がそこに佇んでいた。
扉に凭れて立っているだけなのに、圧倒的な存在感を放つ。
特進科の氷室くんが普通科の教室にやってくるなんて初めてだし、女子生徒を呼び出すなんてそもそもありえない。
鶏そぼろを頬張ろうと大口を開けたまま私は呆然とする。
キャアアと女子生徒の黄色い悲鳴が教室中に大きく響き渡り、クラスメイトの視線が一斉に私に注がれる。
……もしかして今、私の名前を呼んだ?
衝撃的な出来事に驚いたから、それだけよ。
振り子のように不安定な気持ちに無理やり理由をつけて蓋をする。
三時間目の休み時間に堤くんが委員会の欠席を再度謝罪してくれて、来月は自分がひとりで出席すると申し出てくれた。
これでもう王子様と関わらないですむ、と浮かれる私を親友は胡乱な目で見ていた。
昼休み、事件は起こった。
いつもと同じようにお弁当を広げ、梨乃と向かい合って座る。
今日は三色そぼろ弁当だ。
千帆ちゃんは昨日に引き続いて部活動で呼び出されていた。
「原口さん、いる?」
開け放たれた教室の前側の扉から突然響いた低い声に、教室内がしんとなる。
ありえない人物がそこに佇んでいた。
扉に凭れて立っているだけなのに、圧倒的な存在感を放つ。
特進科の氷室くんが普通科の教室にやってくるなんて初めてだし、女子生徒を呼び出すなんてそもそもありえない。
鶏そぼろを頬張ろうと大口を開けたまま私は呆然とする。
キャアアと女子生徒の黄色い悲鳴が教室中に大きく響き渡り、クラスメイトの視線が一斉に私に注がれる。
……もしかして今、私の名前を呼んだ?