冬の王子様の想い人
ふたりの会話についていけずに視線を泳がせる。頬が耳が熱くて困る。
気に入ってるってどういう意味?
「狭量な男は嫌われるよ? ほら、ナナちゃん困ってるじゃん」
挙句の果てには意味の分からない助け船まで出してくる。
「あ、あの、どうしたの? 東棟にくるなんて、なにかあった?」
「ああ、ナナの連絡先を知らないと思ってさ。連絡先の交換に来たんだ。ほらスマホ出して」
躊躇う隙も与えないくらいに鮮やかな手腕で、あっさり連絡先を交換されてしまう。周囲の食い入るような注目はもちろん完全無視だ。
「なにかあったらすぐに連絡しろよ」
ふわりと相好を崩して頭をぽんと撫でる。綺麗な二重の目が優しく細められる。
その仕草に昨日から壊れっぱなしになっている鼓動がトクンと跳ねた。
「ナナちゃん、俺とも交換する?」
楠本くんがクスクス声を漏らしつつ、自身のスマートフォンを取り出した。
「お前はいいんだよ!」
雪華が慌てて止めて、楠本くんを引っ張るように去っていった。
頬の熱さだけがいつまでもひかずどう反応していいかわからない。友人たちはなぜか心得たように片眉を上げて私を見ていた。
「……王子様、ナナにはあんな表情するのね」
親友の呟きにどう返事をすればいいかわからない。
それでも後日、雪華と楠本くん、梨乃と私はなぜか連絡先をお互いに交換する仲になってしまっていた。
気に入ってるってどういう意味?
「狭量な男は嫌われるよ? ほら、ナナちゃん困ってるじゃん」
挙句の果てには意味の分からない助け船まで出してくる。
「あ、あの、どうしたの? 東棟にくるなんて、なにかあった?」
「ああ、ナナの連絡先を知らないと思ってさ。連絡先の交換に来たんだ。ほらスマホ出して」
躊躇う隙も与えないくらいに鮮やかな手腕で、あっさり連絡先を交換されてしまう。周囲の食い入るような注目はもちろん完全無視だ。
「なにかあったらすぐに連絡しろよ」
ふわりと相好を崩して頭をぽんと撫でる。綺麗な二重の目が優しく細められる。
その仕草に昨日から壊れっぱなしになっている鼓動がトクンと跳ねた。
「ナナちゃん、俺とも交換する?」
楠本くんがクスクス声を漏らしつつ、自身のスマートフォンを取り出した。
「お前はいいんだよ!」
雪華が慌てて止めて、楠本くんを引っ張るように去っていった。
頬の熱さだけがいつまでもひかずどう反応していいかわからない。友人たちはなぜか心得たように片眉を上げて私を見ていた。
「……王子様、ナナにはあんな表情するのね」
親友の呟きにどう返事をすればいいかわからない。
それでも後日、雪華と楠本くん、梨乃と私はなぜか連絡先をお互いに交換する仲になってしまっていた。