溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
キスが唇から首筋へと下りてきて、同じように大きくて男らしいしなやかな手が服の裾から侵入してくる。
「ま、待って下さい……」
私は思わずその手を遮るように両手で掴んだ。
「嫌か?」
初めてというわけでもないし、恥じらうような年齢でもない。それなのにこの先に起こる出来事を考えたら、このまま流されてもいいものかと不安で仕方がない。
私の顔色をうかがうような眉を下げた表情。こんな篠宮先生の顔は初めて見る。
「嫌じゃ……ないです」
「そうか」
安心したように笑うと、一変して今度は男の顔になる。
「柚」
愛おしいものを愛でるような声で名前を呼ばれて、私の顔は一瞬で真っ赤になった。薄暗くてよかった。こんな顔を見られたら好きだと言ってるようなものだもの。
隠しきれない自分の気持ち。初めてプロポーズされた日から、私はまちがいなくこの人に惹かれている。だからもうこのまま流されてもいい。
篠宮先生の熱で甘くほだされてみたい。
とろけるようなキスを落としながら、素肌の上を滑るしなやかな指先。それは驚くほどに冷たくて、優しく慈しむように腹部から胸の方へと移動していった。