溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
思わぬ策略
「はぁ」
「どうしたの? そんなに大きなため息なんて吐いて」
クルクルとフォークにパスタを巻きつけながら、爽子が苦笑する。
「いろいろとね、大変なのよ私も」
そう言ってから私はドリアを口に入れ、氷の溶けかかったウーロン茶で流し込む。
「ズバリ、恋絡みでしょ?」
「げほっ」
「あは、図星ってわけだ」
美人でクールに見える爽子が少女のようにかわいらしい笑顔を浮かべた。
「で、お相手は?」
「そ、そんなんじゃないわよ」
「そのわりには、顔が赤いんですけど」
「もう、からかわないで」
「ちぇ、つまんない。柚のそういう話期待してるのに」
病院内のレストランで昼食を取りながら雑談していると、目立つ爽子と一緒にいるせいか注目を浴びているような気がする。
彼氏ができたとはいえ、爽子の人気は未だに衰えてはいないようだ。
「柚もいい加減前の恋を忘れて幸せになってよ。いつまでもとらわれてちゃダメだからね?」
「わかってるって。とらわれてはいないから安心してよ」
爽子は病院内で唯一私と優が付き合っていたことを知る人物だ。振られて傷ついていたところも爽子には見せてしまっているので、こうして今でも心配してくれている。