溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
え!?
「ふん、白々しく驚いたふりなどしても無駄だ。天音を傷つけたことを後悔させてやる」
今にも噴火してしまいそうなほどの赤い顔。
もしかして、いや、もしかしなくても私が疑われている?
「あの、なにか誤解されているようですが、私は天音さんとは今日が初対面です」
「まだとぼける気か」
なにを言っても聞く耳を持ってもらえず、否定するたびに会長の眉間に深いシワが刻まれていく。
さっきの爽子の話をすり合わせると、あながち噂はまちがっていなかったみたいね。他人事のように聞いていたけど、まさか自分が疑われているなんて。
冗談じゃないわ、濡れ衣もいいところよ。
そもそも、どうして私が疑われなきゃいけないの。
当の天音さんはさっきからずっとうつむいていて私の顔を見ようともせず、娘を思うあまり怒りの矛先をこちらに向けてくる会長の隣で小さくなっている。
なにも言わず、まるで従順な子犬のよう。
「どうして私だとお思いなんですか?」
「まだ言うか、往生際の悪いヤツめ」
言い返したくなる気持ちをグッとこらえ拳を握りしめる。