溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
自分のしたことを棚に上げて一方的に私だと決めつけ、院長にまで告げ口するなんて、人として許せない。
「私はなにも知りません」
「まだシラを切るつもりか。この際、天音に話した宮本の話がウソか真実かはどうでもいいんだ。『結婚しないほうがいい』などと偉そうに天音に命令するとはどういうことだと言っている!」
怒りまかせに握り拳でドンッとテーブルを叩く会長。その隣で天音さんが肩をビクッと震わせた。
「もっとよくお調べになってください」
「ふん、貴様ごときにそこまでする価値はない。今もっともすべきことは、とっとと認めて天音に謝ることだ」
「…………」
何度もそう言っているのに返ってくる言葉は同じで、さすがの私もこれ以上どう言えばいいのかわからない。
重要なのはそこじゃないのでは?
優の婚約者である天音さんにそんなことを言った女性もたしかに問題だけれど、まずは話の内容を疑うべきなのでは?
実際に優は色んな女性と遊んでいるようだし、これから結婚して夫婦としてやっていくのだから、はっきりさせておいたほうがいいに決まっている。
はっきりさせるもなにも『心当たりのある女性は私しかいない』とまで言っているから、明らかに黒だと会長もわかっているはずなのだけれど。